1986~1987年度 RI第2500地区 パスト・ガバナー 池 内 正 人
初めに、遠軽R.C創立35周年の記念日を迎え、チャーターメンバーの一員として、
ロータリー生活35年の歳月を楽しませて頂いた幸せを同志の人達と共に心から祝福致し
たいと思う。
創立当初溌刺として、夢多かった若紳士も既に染や皺の増えた、古老の人達である。
人生幾多の試練を乗り越えたロータリアンの方々にお会いする度に年輪の重昧を感ず
る昨今である。
昭和天皇が御崩御なされ、昭和激動の時代が終わった5年前、平成天皇の御即位と、
若い世代の成長と相侯って、若々しい平和日本が誕生した。平成元年は私達の記憶に生
々しいところである。
其の平成1年度から平成5年度迄の遠軽R.Cの歩みと、その年代の国際ロータリー
の動向について、ここに其の変遷の記録を残したいと思う。
(A):1988年度前後はロータリー変革の時代。
(I)職業奉仕一概念の変革
(イ) 1989年~90年、R.I会長ヒューM.アーチャー氏は前会長の提唱を受け
て職業奉仕は①個人と、②クラブと、両方の責務であると推奨された。ロー
タリアンの多くは此の大転換に戸感いを感じながらもようやく実践に動き出
した。遠藤会長時代に地区64クラブ中卒先して、実践に踏切ったのは遠軽R
.Cである。
(ロ) 職業奉仕に小委員会設置。
クラブに就職相談、職業情報、職業指導、職業活動表彰の4小委員会を設
置した。黒田ガバナーや長谷川ガバナー時代に称賛をうけた。
(ハ) 国際ロータリー網領中の訳語の訂正。(表1、表2参照)
網領第2項 実業→事業に
専門職業→専門職務に
有用なる職業→有用なる業務に
其の職業を→其の業務を
第3項 職業生活を→事業生活を
第4項 結ばれた実業人と専門職業人を→事業と専門職務に携わる人
職業の訳語が職務、業務に変更になり、職業の内容を明瞭、適確にした。
職業に上下、有用、無用、貴賤の差別等誤解を招くことはない。
(ニ) 職業宣言
ロータリアンの金科玉条であった11ケ条の職業倫理訓(黄金律)は8ケ条
の職業宣言にまとまる。今後此の宣言は職業人の魂として、自己修養、職業
研磨の基本となる。
(表1)
(旧)ロータリーの綱領
ロータリーの綱領は、有益な事業の基礎として、奉仕の理想を鼓吹しこれを育
成し、特に次の各項を鼓吹、育成することにある。
第1、奉仕の機会として知り合いを広めること。
第2、実業および専門職業の道徳的水準を高めること、あらゆる有用な職業は尊
重されるべきであるという認識を深めること、そしてロータリアン各自が、職業
を通じて社会に奉仕するために、その職業を品位あらしめること。
第3、ロータリアンすべてが、その個人生活、職業生活および社会生活に常に奉
仕の理想を適用すること。
第4、奉仕の理想に結ばれた実業人と専門職業人の世界的親交によって、国際間
の理解と親善と平和を推進すること。
◎日本語訳→変更
実業→事業に
職業→職務、業務の使い分けに注意
◎炉辺会談→家庭集会に
(Fireside meeting ) (Informal Discussion meeting )
(新)ロータリーの綱領
ロータリーの綱領は、有益な事業の基礎として奉仕の理想を鼓吹し、これを育
成し、特に次の各項を鼓吹育成することにある。
第1、奉仕の機会として知り合いを広めること。
第2、事業および専門職務の道徳的水準を高めること、あらゆる有用な業務は尊
重されるべきであるという認識を深めること、そしてロータリアン各自が、業務
を通じて社会に奉仕するために、その業務を品位あらしめること。
第3、ロータリアンすべてが、その個人生活、事業生活および社会生活に常に奉
仕の理想を適用すること。
第4、奉仕の理想に結ばれた、事業と専門職務に携わる人の世界的親交によって、
同県間の理解と親善と平和を推進すること。
(表2)
職業宣言
事業または専門職務に携わるロータリアンとして、私は以下の要請に応えんとす
るものである。
1)職業は奉仕の一つの機会なりと心に銘せよ。
2)職業の倫理的規範、国の法律、地域社会の道徳規準に対し、名実ともに忠実
であれ。
3)職業の品位を保ち、自ら選んだ職業において、最高度の倫理的規準を推進す
べく全力を尽くせ。
4)雇主、従業員、同僚、同業者、顧客、公衆、その他事業または専門職務上関
係をもつすべての人々に対し、ひとしく公正なるべし。
5)社会に有用なすべての業務に対し、当然それに伴う名誉と敬意を表すべきこ
とを知れ。
6)自己の職業上の手腕を棒げて、青少年に機会を開き、他人からの格別の要請
にも応え、地域社会の生活の質を高めよ。
7)広告に際し、また自己の事業または専門職務に関して、これを世に問うにあ
たっては、正直専一なるべし。
8)事業または専門職務上の関係において、普通には得られない便宜乃至特典を、
同僚ロータリアンに求めず、また与うることなかれ。
(Rotary International. 1989)
(II)ロータリ(Rと省略)標語の統一
①Service Above SelF 超我の奉仕。
②He profits most who serves best.
最もよく奉仕するものは、最も多く報いられる。
従来ロータリー活動を表現する最も適格な標語として①と②が併立して共に用い
られたが、今回から①をロータリーの第一の標語として使用することとした。②は
個人又はクラブの自由とすること。
(Ⅲ)其の他の訳語訂正。
炉辺会談 Fireside Meeting. →家庭集会 Informal Discussion meeting.
以上のロータリー用語の改変は、手続要覧其の他R文書が日本ロータリアンに、
より身近なものとして理解され易くなってきた。
(B)遠軽R.Cの奉仕活動。
平成元年(1989年)から平成5年度までの業績について。
(I) 遠軽R.C30周年記念事業には時の遠藤利男会長を始め理事役員諸氏の素晴
らしいリーダー・シップにより、遠軽R.Cの充実発展の姿を地区内外に表現
した。町村クラブから一躍、地区内有数のクラブと評価されるまで献身せられ
た功績は大きい。其の後の各年度の会長、寿美氏、鈴木氏、橋本氏、岸下氏、
北野氏等の真摯な、運営と熱意は歴史の中に大きく残ることでしょう。
(Ⅱ) 私が役職(P.G)として関係した活動。
① 日韓親善会議連絡委員として
ロータリー運動に於いて、国際親善を目的とした世界社会奉仕(WCS)の
実践はクラブや地区の重要な課題である。私が日本ロータリーの日韓親善適
絡委員に指名されたのは平成4年7月である。
地理的に最も近隣の日韓両国が、〝近くて遠い〟仲であった。国際親善、
世界平和の樹立を掲げるロータリーこそは、日韓両国間の深いわだかまりを
解消しお隣り同志としでの親しい関係を構築する最適の奉仕組織である。そ
の観点に立って両国民の親善交流の橋渡し役に汗を流さうと、ロータリー親
善会議の頻繁な開催が計画された。 1982年、第1回韓・日・親善会議がRI
会長主催(仲人役)で、ソウルで開催され参加者1、000名を越した。日・韓
ロータリーの主脳、委員長と両国委員10数名参加のもと、委員会は年1~2回
開催し、両国ロータリ一間で今後の充実協力を約束す。地区レベル、クラブ
・レベル、IAC、RAC、等の末端まで通る交流の機会を求め、ロータリ
ーの行事、姉妹都市、個人の知人、友人、関係まで拡大し、回数を重ねて、
両国の親善友好を深める努力を誓い会ってきた。
第2回、1984年日・韓親善会議。RI会長主催。於神戸。
第3回、1986年韓・日親善会議。於ソウル。
第4回、1987年日・韓会議。於九州一宮崎。
○1989年5月、ソウル、ロータリー国際大会。於ソウル。
参加者(日) 837名、(韓) 579名、計1、416名。大挙して大会を支援。
第5回、1992年2月日・韓親善。於仙台。
第6回、1994年10月韓・日親善。於慶州。 10月18 ・ 19日(予定)
以上日韓、韓日、両国の親善会議は交互に開催されてきた。その事前準備
連絡委員会は東京で年1~2回聞かれた。
私は第4回、九州一宮崎。第5回、仙台。第6回、慶州(予定)等の親善
会議に参加。但例の委員会と定期的、日韓親善会議には、極力参加、親善交
流を積み重ねてきた。「日韓両国は、朝鮮海峡を間にした、宿命的近隣の国」
であり、2、000年に互り、経済、文化を共有してきた〝永遠のお隣り〟さん
である。過去の〝いがみ合い〟から離れて、お互に友情を分ち合う中になら
うと思う。
② 青少年交換学生
米国交換留学生のD君は1985年の夏、来日し、小生宅にホームスティーし
た、気かん坊の16才の高校生でした。老人夫婦2人の小生宅は、自分の子供
達の受験期の頃しか知らないし、受人準備もなしに反抗期の外人留学生を預
った。戸惑と苦労が多かったことを思い出す。D君が5年後日本の大学に人
学して小生宅を訪れた。懐しさの余り2~3時間、遠軽留学中の話、遠高の
こと、友人のこと、京都への修学旅行のこと、旭川日赤入院中の話、等色々
な思い出話に花が咲いた。5年前のあの頃の事実が夢、幻、の様に感ぜられ
た。D君は全く変られた。青年紳士然とした風格を具え、日本人学生の様に
日本語が上手で、礼儀正しく、物静かで、全く別人の様な印象をうけた。D
君が帰国後5年間の間に、環境にどんな変化があったのだろうか。私の深く
関心を寄せる所である。
青少年交換留学生の問題について多種多様な議論があり、ホームスティー
を体験されたロータリアンの御家庭から、その経験談を拝聴して、今後の参
考記録としたい。
③ 各分区のI・Mに参加して。
イ I・G・F時代の激しい討論が消えて、なごやかな雰囲気の中にも、よ
り高いロータリー観、人生観、社会観を求められている。
ロ 町村クラブは過疎化、高令化が深刻に影響し、会員増強も難しく、退会
者防止に必死の状態である。
ハ ロータリーの簡素化と同時に、会議の効率化が工夫されだした。多数の
ロータリアンを釘づけにする会議から、事前にビデオテープで討論を整理
して議論の内容を簡明に参加者に呼びかける、ビデオ・フォラムの形式が
今後大いに活用されるであろう。
ニ 10数年前から叫ばれた高令化社会の到来に対し、現状は官民あげて今日
只今の現実処理に追われている。地域のロータリアンは、深刻に是を受け
とめ、あらゆる知恵を出す時である。
総括
遠軽RC30周年記念誌発刊以来僅か5年目。短期ではあるが次の40周年と21世紀が間
近に迫った重要な節目である。
記念すべき平成元年(1989年)から平成5年(1994年)迄のクラブの奉仕活動の概略
とその背景となる国際ロータリーの変革の流れを概説した。此の5年間は国際ロータリ
ーの大きな変革の時代であった。遠軽RCは此のロータリーの流れに、敏速に対応して、
地区内優秀クラブとして充実発展に努力された。特に歴代の会長始め役員諸氏の御精進
に心から敬意と感謝の意を表する。
最後に今世紀の終末も近く、新しい21世紀とロータリー100年祭が次第に近づいて来
つつある。ロータリアンが一大飛躍する時が追ってきた。一層の御健闘を祈る。
以上。